金網を隔てて(内側より)金網を隔てて(内側より)僕達は、この金網の向こうに一生出ることができないんだ。 …………死ぬことができて、やっと解放されるんだ。 僕は生まれたときから、この金網の中。 僕だけじゃなく、みんな金網の中。 そして、大きくなると、こことは別の、かれらがいる別の場所に移されちゃう………。 かれらは僕達より、すごく大きい。 だから、僕達は何もできない。 今日も僕達の誰かはきっと解放されたんだと思う………。 僕達はかれらから絶対逃げられないんだ。 もちろん、僕の番もそろそろきちゃう………。 ホラ、モウキチャッタ……………。 かれらは僕に食べ物も水もくれる。 でも、初めてこっちに来たときに注射を打たれた。 「君は僕達の役に立つんだよ………」不思議な表情でかれは言った………。 そして、僕は毎日毎日、検査を受ける………。 僕はどんどん元気がなくなっていく………。 クルシイヨ…………、タスケテ…………。 僕はかれに助けを求めたけど、かれは目をそらしちゃった………。 ナンダロウ?カラダガウゴカナイ………。 ボクモウシヌノカナ? ナンカイイキモチニナッテキタ………。 コレデモウクルシマナクテスムンダ……………。 ドウシテ?マダチュウシャヲウツノ!? オネガイ!!コノママニシテ!!オネガイ!!!! クルシイヨ………、クルシイヨ……………。 ドウシテ?ドウシテボクノイノチヲソンナフウニアツカウノ!? ドウシテ?ドウシテ……………。 今度こそ、この苦しみから解放される。 モウ、ナニモシナイデネ………。 僕はかれをみた。 かれも僕をみた。 もう何もしないみたいだった……… |